個別映画評
卒業
The Graduate

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年代 | 1967年 |
国 | アメリカ |
時間 | 107分 |
監督 | マイク・ニコルズ |
脚本 | カルダー・ウィリンガム、バック・ヘンリー |
音楽 | ポール・サイモン |
出演 | ダスティン・ホフマン、キャサリン・ロス、アン・バンクロフト、マーレイ・ハミルトン |
ダスティン・ホフマンの初出演作であり出世作ともなったこの作品は、60年代を代表する青春映画の傑作でもある。
主人公ベン(D・ホフマン)は、優秀な成績で大学を卒業、実家でのお祝いパーティは何故か気乗りがしない。だが、父の友人の妻、ロビンソン夫人(アン、バンクロフト)の、なかば強引ともいえる誘惑に負け、ベンは夫人との情事にのめり込む。やがて、夫人の娘エレーン(キャサリン・ロス)が学校から帰省すると、ベンの両親がエレーンとの交際を画策。ロビンソン夫人からきつく交際を止められていたベンだが、両親の薦めでもありやむなくエレーンをデートに誘う。ところがホントに好きになってしまうのだ。娘との交際を知ったロビンソン夫人は、嫉妬に狂うあまり、二人の関係を全部娘に話す、とベンに迫るのだった……。密会を重ねるごとに、ウブで生真面目なベンが、だんだん情夫気取りに変わる様子を飄々と演じる、D・ホフマンがうまい。ロビンソン夫人のA・バンクロフトも、中年女性のずうずうしさや妖しさを存在感充分に見せている。
また、この映画のもう一つの魅力は、サイモン&ガーファンクルの『サウンド・オブ・サイレンス』や『ミセス・ロビンソン』『スカボロ・フェア』などのメロディが、さながら物語の進行に呼応するごとく画面にマッチして流れることなのだ。ドラマを盛り上げるBGMとして実にうまく使われており、映像と共にいつまでも耳に残る。この後、全てを知ったエレーンは、別の男性と結婚することになるが・・・。
マイク・ニコルズの演出は、普遍的な青春を描いて淀みがないばかりか、クスッと笑わせるユーモアも効かせて感動のラストへといざなう、監督手腕も見事な一篇だ。
(2007/04/18)