個別映画評
ザ・シューター/極大射程
SHOOTER

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年代 | 2007年 |
国 | アメリカ |
時間 | 126分 |
監督 | アントワーン・フークワ |
脚本 | ジョナサン・レムキン |
音楽 | マーク・マンシーナ |
出演 | マーク・ウォールバーグ、マイケル・ベーニャ、ダニー・グローヴァー、ケイトマーラ |
「ティアーズ・オブ・ザ・サン」や、最近では「キング・アーサー」などを手がけたA・フークワ監督作だが、これまでの何か“物足りなさ感”があった作風から一変、胸のすく痛快復讐劇として、見て損のない映画に仕上げている。
元海兵隊の敏腕スナイパー、ボブ・リー・スワガー(マーク・ウォールバーグ)は、アフリカのある小国で相棒のドニーと偵察任務中、戦局の変化で敵地に置き去りにされ、相棒ドニーを失うという激しい銃撃シーンから物語は始まる。それから3年、今は退役し山奥で愛犬サムと隠遁生活をおくるスワガーの元へ、元軍人ジョンソン大佐(ダニー・グローバー)が訪れる。彼は大統領暗殺計画を察知しており、狙撃場所の特定をスワガーに依頼する。スワガーは自分を裏切った政府への協力を渋るが、愛国心と確たる狙撃の自信と経験から大佐の申し出を引き受けるのだった……。
1.6キロ以上からの狙撃の場合、湿度や標高、気温や風、さらに塵にも左右され、着弾までに6秒から10秒もかかるほか、地球の自転にも影響されるなどと言う話も興味深い。また、本編のスワガーとドニーのごとく、CIAのスナイパー(狙撃手)たちがスポッター(観測手)と二人で一組として行動、気温や風を読んでいる点など、まさにこの映画ならではの面白さといえる。
物語はこのあと、大統領と同席していたエチオピア大司教が狙撃され、犯人に仕立てあげられたスワガーは、銃弾を受けて逃げ回るという見せ場へと展開していく。一方、独自捜査でスワガーの無実を確信したFBI捜査官ニック・メンフィス(マイケル・ペーニヤ)もまた大佐一味に狙われるが、スワガーに助けられ、彼の良きスポッターへと成長していく。かくて、ふたりはスナイパーとスポッターとしてタッグを組み、石油利権がらみの陰謀に立ち向かうのだ。
一流スナイパーとしての知識と経験をフル活用して仕掛ける主人公の復讐の罠を細かに描くことで、見せ場の興趣を盛り上げる手法が功を奏した活劇作である。
(2007/09/25)