個別映画評
ジャンパー
JUMPER

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年代 | 2007年 |
国 | アメリカ |
時間 | 88分 |
監督 | ダグ・リーマン |
脚本 | デヴィッド・S・ゴイヤー、サイモン・キンバーグ、ジム・ウーリス |
音楽 | ジョン・パウエル |
出演 | ヘイデン・クリステンセン、ジェイミー・ベル、レイチェル・ビルソン、サミュエル・L・ジャクソン、ダイアン・レイン |
アメリカの人気小説を、「Mr,&Mrs,スミス」の監督D・リーマンが映像化したSFアクション大作だ。題名の“ジャンパー”とは、 世界中どこでも思ったところにテレポート(瞬間移動)できる能力を持つ人間たちのことである。そして、彼らの抹殺をもくろむ のが“パラディン”なる組織で、この二組の対決が物語の大きな流れとる。
主人公デヴィッド(ヘイデン・クリステンセン)は2才の時母親に去られ、父親とのふたり暮らしだ。そして彼が15才の時、悪 友の嫌がらせで川で溺れかけ、気付けば通いなれた図書館だったことから、初めて自分に瞬間移動の能力があることに気付く。
以来彼は“ジャンプ”(瞬間移動)の腕を磨き、父の暴力をのがれてニューヨークへジャンプする。さらには銀行の金庫室へ ジャンプして一挙に大金を手に入れ、優雅なジャンパー生活を始めるのだ。イギリスのビッグベンからロンドン市街を見下ろ した後、モルディブでサーフィンをし、瞬時にスフインクスの頭上でランチを楽しんだりと、世界をまたにかけて瞬間移動すると いう離れ業を、いとも簡単に行うのだから恐れ入る。一方、秘密組織パラディンの強力なエージェント、ローランド(サミュエル・ L・ジャクソン)も行動を起こし、デヴィッドの身辺に迫ってくる……。とまあ、こういう展開になるのだが、映画的に目新しくもない瞬間移動を、オンパレードのごとく並べられると、さすがにアホらしくなる。ましてや、金庫室にジャンプして大金をせし めるなど、なんでもありのお話なら、よほど脚本を工夫しないかぎり、面白かろうはずがない。終盤近くにデヴィッドを捨てた母親(ダイアン・レイン)の秘密も語ら れるが、どうでもいいようなお話で一向に興ものらない。さらに、ローマのコロセウムや、東京もドラマの舞台となるが、街中を ベンツでブッ飛ばし、目まぐるしくジャンプするなど、コセコセとした印象が目立つ。また、後半になるほどジャンプシーンにも見飽きてくるのは致命的ではないか。結果的にこの映画、いちばん楽しんだのは、世界中でロケをした撮影クルーということになるのだろうか。
(2008/03/01)