個別映画評
アバター
AVATAR

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年代 | 2009年 |
国 | アメリカ |
時間 | 162分 |
監督 | ジェームズ・キャメロン |
脚本 | ジェームズ・キャメロン |
音楽 | ジェームズ・ホーナー |
出演 | サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーヴァー、スティーヴン・ラング、ミシェル・ロドリゲス |
「アバター」とは、一般的にはインターネット上の“自分の分身となるキャラクター”のことだが、ここでは人間と異星人のDNAを合成して作った“人間の分身”を意味している。
物語は22世紀の地球から始まる。戦闘で負傷し、車いす生活の元海兵隊員ジェイク(サム・ワーシントン)は、亡くなった双子の兄に代わり、地球から5光年の距離にある衛星“パンドラ”へ赴くことになる。そこは人間に有害な大気をもつ星だが、“ナヴィ”というブルーの肌を持つ民族が住んでいた。自然と一体化して暮らす彼らは、地球人の1.5倍もの背丈ながらしごくおだやかな種族でもあった。
ところが、この星の高価な鉱物資源がほしい地球人たちは、そんな彼らの生活を脅かしはじめる。ヒトとナヴィの遺伝子で作られた“肉体”に“意識”を持たせて彼らの中に送り込み、遠隔操作で動かす、と云う“アバター・プロジェクト”を進めていたのだ。
リンクは成功しアバターの肉体を手に入れた主人公ジェイクは、パンドラの大地を駆け回ることになる。そして、そのジャングルで出会ったナヴィの族長の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)から、パンドラの生命の調和を学ぶうちに二人は恋におちていく……。
先住民族を侵略して国を広げたアメリカ開拓史にも似たJ・キャメロンの脚本は、お話としての新鮮味には欠けるものの、ビジュアル面での独創性は相当なもので、大挙しておしよせる人間たちの乗り物や巨大メカなどの造形物をはじめ、衛星パンドラの空中に浮かぶ島々や飛び回る怪鳥の姿など、どれも目を見張るほどの迫力に満ちている。
そして、呼び物の3D効果も、これまでのスクリーンから“飛び出る”だけがとりえの作品と違い、しっかりしたストーリーに裏打ちされた上で、自然に近い立体効果が生かされている点など、見るべきところも多い。
ただ、3D専用メダネにはやはりいくつかの難点があるようだ。メガネ着用者には不便だし、小さな子供たちにも合わないだろう。とは言っても、これこそ3D映画時代の幕開けにふさわしい作品、と呼んでもおかしくはない快作には違いない。
(2010/01/03)