個別映画評
プロメテウス
PROMETHEUS

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年代 | 2012年 |
国 | アメリカ |
時間 | 124分 |
監督 | リドリー・スコット |
脚本 | ジョン・スペイツ、デイモン・リンデロフ |
音楽 | マルク・ストライテンフェルト |
出演 | ノオミ・ラパス、マイケル・ファスベンダー、シャーリーズ・セロン、イドリス・エルバ、ガイ・ピアース |
「プロメテウス」とはギリシャ神話の神で、天上の火を盗んで人間に与えたためにゼウスの怒りを買った神さまだ。もっともここではその名は、クルーが乗る宇宙船の名だが、ウィキペディアによると、このプロメテウスが人間を創造したとの説もあるようで、そのあたりがこの映画のねらいかも知れない。そのあかしではないが、本作の壮大なキャッチ・コピー『人類最大の謎、それは«人類の起源»』からして映画ファンの「見たいスイッチ」を押させたい下心がミエミエだ。
地球上の、時代も場所も異なる遺跡からある共通のサインが見つかる。そのサインを人類の創造者たる知的生命体からの“宇宙への招待状”と受け取った科学者のショウ(ノオミ・ラパス)は、17人のクルーとともに宇宙船プロメテウス号に乗り込み、2年をこえる航海を経て目的の惑星に到達する、というのが導入部で、着いたところはある惑星の荒涼たる砂漠の大地だ。
そこに巨大なドーム状の遺跡があり、一行はその遺跡の洞窟を手分けして調査することになる。するとそこには地球と同じ大気があり、宇宙服のヘルメットなしでも大丈夫だと分かる。やがて洞窟の壁にスイッチを発見。押すとホログラムが作動して何者かが走り回る映像が投影され、さらに、無数の筒状の壺がある部屋があったりと、ここで映画は一気に観客を、あの「エイリアン」の巣窟へとはこぶのだが、今回はどうもそのあとがいただけない。確かに、ビジュアル面ではスケールアップした映像が楽しめるものの、コブラ状の未知の生物をペット扱いして命を落とすアホな科学者がいるかと思えば、タコみたいなバケモノが出てきたりと、そこに初代「エイリアン」にあったゾクゾクするような映画的興奮はあまりない。
ただ、女性が活躍するのは同じで、ここではシガニー・ウィーバーの役どころを、あの「ドラゴン・タトゥーの女」で鮮烈な印象を残したノオミ・ラパスが体当たりで熱演。その分退屈はしないのだが、残念ながら本作は、名匠R・スコットといえどもそのストーリーの脇の甘さと、このシリーズのどこかで見たような絵作りが惜しいし、冒頭のキャッチ・コピーがまるで“カラ手形”なのにもガッカリさせられる一編、と言えよう。
(2012/8/28)