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マッドマックス 怒りのデス・ロード

映画評価映画評:金星20点,白星5点映画評:金星20点,白星5点映画評:金星20点,白星5点映画評:金星20点,白星5点映画評:金星20点,白星5点 マッドマックス 怒りのデス・ロード

 凶悪な暴走族に相棒の警官を殺されたうえ妻と息子まで殺害されて怒りに燃えた主人公が、そんな悪の権化と化した連中への復讐に乗り出す一作目から数えて今年で30年。その節目の年にあのマッ
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ひとごろし

ひとごろし
点数映画評:金星20点,白星5点映画評:金星20点,白星5点映画評:金星20点,白星5点映画評:金星20点,白星5点映画評:金星20点,白星5点
年代1976年
日本
時間82分
監督大洲斉
脚本中村努
音楽渡辺宙明
出演松田優作、高橋洋子、五十嵐淳子、丹波哲郎、岸田森、桑山正一

 「時代劇」の面白さ痛快さは、剣の使い手が豪快な立ち回りで相手をバッタバッタと斬り伏せてみせるところにある。ところが、同じ時代劇でも山本周五郎の同名短編が元ネタの本作は、いくじなしで武芸もまるでダメな侍が主人公にもかかわらず、面白くて痛快、という異色な一篇だ。

 その主人公、越前福井藩の双子六兵衛(松田優作)は、犬が恐くて道も通れないと家中でも評判のヘッポコ侍だ。家に帰れば帰ったで妹かね(五十嵐淳子)から、兄のお陰で縁談が来ないと、さんざんグチられる六兵衛だ。そんなある日、事件が起きる。藩のお抱え武芸者仁藤昂軒(丹波哲郎)が、藩主お気に入りの小姓を斬って逃亡したのだ。怒った藩主はすぐさま「上意討ち」を下命する。だが、その相手が剣術と槍の名手と知る家臣たちは、誰も手を上げようとはしない。そんな時、討手の人選に苦慮する重臣たちの前に、恐る恐る進み出るのが誰あろう、あのヘッポコ侍の六兵衛だったのだ。こうして昂軒を追う六兵衛の、それこそ正真正銘“命がけ”な旅が始まることになる。時あたかも真夏の太陽が照りつける熱い季節だ。六兵衛は汗をふきふき昂軒を追って北国路をひとり行くことに……。

 主人公が、まともに立ち会えば万にひとつの勝ち目もない相手に挑むのは、妹を嫁がせたい兄としての切なる願いでもあるのだが、何よりも本人自身の“自己変革”でもあったのだ。恐怖心に押し潰されそうになりながらも、彼は何としても勝たねばならなかった。そこで六兵衛はある“奇策”を思いつく。

 刑事ドラマ「太陽にほえろ」の“Gパン刑事”役で一躍世に出た松田優作が、ここではダメ侍を快演。一方、カタキ役の丹波哲郎も、剣豪浪人に扮して堂々たる風格をみせている。この作品が面白いのは、実はここに秘密がある。強い者をより強く、弱い者はより弱く描くことで力の差を際立たせ、そこにドラマの緊張感を集約させて見る者の目を、画面から離させないのだ。
 映画には、いつの世でも不滅の光を放つものと、時ととも色褪せていくもの、そして時を経ることで輝きを増すもの、この3つがある。本作はその3つめにこそふさわしい。
(2012/9/3)

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