個別映画評
ダイ・ハード/ラスト・デイ
A GOOD DAY TO DIE HARD

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年代 | 2012年 |
国 | アメリカ |
時間 | 98分 |
監督 | ジョン・ムーア |
脚本 | スキップ・ウッズ |
音楽 | マルコ・ベルトラミ |
出演 | ブルース・ウィリス、ジェイ・コートニー、セバスチャン・コッホ、ラシャ・ブコヴィッチ、コール・ハウザー |
思えばブルース・ウィリスは、この映画の主人公ジョン・マクレーン役でブレイクすることになるのだが、実はこのころ彼はまだ30才の若さだった。早いものであれからすでに27年、今年57才のウィリスはここでも その役で大活躍だ。と云う事は、このシリーズがこれまで27年もの長きに亘って映画ファンに愛され続けてきた“アカシ”なのだろう。その意味では、本作で5作目と作品的には少ないものの、このシリーズの主人公“世界で最もツイてない男ジョン・マクレーン”が、俳優ウイルスにとって“世界一ツイてるキャラクター”となったのはうれしい誤算だったに違いない。
そのマクレーンが今回やってきたのはロシアの首都、モスクワだ。それはヘマをやらかして証人として裁判に出廷することになった息子ジャック(ジェイ・コートニー)を引き取りに来たのだった。ところが、到着早々その裁判所が爆破され、マクレーンはまたしても大規模なテロ事件に巻き込まれることになる――。
そんな訳で映画はのっけからアクセル全開の猛スピードで突っ走る。クルマで逃げる息子ジャックを追うテロ一味。そんな息子を助けようと、こちらもシャカリキで追尾する親父マクレーン。渋滞中のモスクワ市街のクルマの屋根をボコボコにしながら駆け抜ける、そのカーチェイス場面がまず最初の見せ場だ。そしてそれに続く以後のアクション・シーンにしても、どう見ても“ヤリスギ”にしか見えないところがこの作品の惜しいところだ。確かに映像的にはハンパなくパンチは効いているのだが、それが見る側にスカッとした面白味として伝わってこないのである。
その映画が面白いかそうでないかは、主人公のピンチの切り抜け方や、勝てそうにない相手の倒し方に、観客の意表を突く“意外性”があるかどうかにかかっている、とボクは思う。ここにはそれがない。マクレーン親子はどんなピンチもやすやすと切り抜けるし、ビルの窓を破って空中に飛び出す、例のこのシリーズお約束の場面も、1作目にあった消火用ホースを身体に巻くなどの工夫もなく、生身のまま親子は外に飛び出すのだからいい気なものである。ま、それはともかく、シリーズ“打ち止め”みたいな邦題に関係なく、この“ツイてない男”のボヤキをまだ聞きたいと願うのは、けっしてボクだけではない筈だ。
(2013/3/3)