個別映画評
GODZILLA ゴジラ
GODZILLA

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年代 | 2014年 |
国 | アメリカ |
時間 | 123分 |
監督 | ギャレス・エドワーズ |
脚本 | マックス・ボレンスタイン |
音楽 | アレクサンドル・デスプラ |
出演 | アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ビノシュ、サリー・ホーキンス |
この「ゴジラ」、結論から言うと『眠かった』が感想だ。だってストーリーに“メリハリ”はないし、このシリーズ特有の、あの重量感あふるるサウンドも聞けなかったからだ。60年目の節目の年の記念作なのに、ザンネンとしか言いようがない。それでも、あちらアメリカではヒットしたらしいが、こちらその本場ではどうなのだろうと、他人事なりともその評判には気がもめる。
始まりは1999年、フィリピンのウエスタン鉱山での爆発事故の発生だ。すぐさま現地へ飛んだ渡辺謙の博士は、そこで驚くべきものを発見する。それは、恐竜よりも巨大な生物の痕跡だった。同じ頃、今度は日本の原子力発電所で謎の地震が発生。原子炉の異常を察知した所員のジュリエット・ビノシュが防護服をまとい内部へ潜入するものの、夫ブライアン・クランストンの救援も空しく一命を落とす。
それから15年の時が流れ、その夫婦の息子アーロン・テイラー=ジョンソンは、自分の父親が変人扱いされながも地震の原因を調べ続けて立てち入り禁止区域へ侵入。逮捕されたとの一報で急きょ日本を訪れる。父親は未だに妻を死なせた原発事故の謎に取り憑かれていたのだ。さらに父親は、真相解明にはどうしても15年前のデータが必要と息子を説得。ふたりして再び立ち入り禁止地区への侵入を図る。そしてそこでふたりが見たものは……。
ここで登場してくるのが手足がコンパスみたいな異形の怪物MUTO(ムートー)だ。上映開始から1時間、そう、ゴジラ登場のタイミングはこれまで通りなのだが、しかしこの化け物、ムートーがなさけない。無機質な上に、まったく可愛げがないのだ。過去のゴジラの宿敵、モスラやキングギドラにはそこはかとない“哀愁”があったが、このムートーにはそれがない。そいつが“オス”“メス”二匹も出てきてやたらと街を壊し回り、われらがゴジラにいどみかかるワケだ。しかし、その闘いの模様がまたのんべんだらりと迫力もなく、眠くなるほど退屈だ。そんな中で芹沢博士の渡辺謙が、指示された英語発音“ガッジーラ”でなく、凛として発した明快な日本語の“ゴジラ”が、何とも嬉しく聞こえてしまう。
確かに、39才とまだ若いこの監督ギャレス・エドワーズにとって、ローバジェット(低予算)で撮った「モンスターズ 地球外生命体」の成功がもたらした本作だが、そのあまりのビッグバジェット(超大作)を前に、どうやらその肩に余分な“リキミ”が入ったのだろう。それだけにこの監督の、既に決まった続編には今から大いに期待したい。
(2014/8/2)