個別映画評
イントゥ・ザ・ウッズ
INTO THE WOODS

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年代 | 2014年 |
国 | アメリカ |
時間 | 125分 |
監督 | ロブ・マーシャル |
脚本 | ジェームズ・ラパイン |
音楽 | ポール・ジェミニャーニ、マイク・ハイアム |
出演 | メリル・ストリープ、 ジョニー・デップ 、 エミリー・ブラント 、 ジェームズ・コーデン 、 アナ・ケンドリック |
ブロードウェイで上演されトニー賞を受賞したディズニーミュージカルを、「シカゴ」や「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉」等の監督、ロブ・マーシャルが映像化した話題作だ。そしてそのお話は、誰もが知っている赤ずきんやシンデレラなど、お馴染みのキャラクターが“ハッピー・エンド”を迎えた後に問題に直面するフアンタジーだ。
昔々あるところに、永年連れ添いながら未だに子宝に恵まれないジェームズ・コーデンとエミリー・ブラントのパン屋夫婦がいた。ところがある日、そんな夫婦のもとにメリル・ストリープの魔女が現れこう告げる。まだ生きていたころのお前んとこの親父に、ウチの庭で育てていた魔法の豆を盗られたことがあった。だからワシはお前たち夫婦に子どもが出来ない呪いをかけたのだ。もし、お前たちがこの呪いを解きたければ、森の中から“ミルクのように白い牛”“血のように赤い頭巾”“トウモロコシのように黄色い髪”この三つをひとつも欠けることなく持ち帰れ、と云うものだった。この言葉に子どもを授かりたい一心の夫婦は、自分たちの願いを叶えるべく奥深い森の中へと足を踏み入れていくことになる……。
かくて、その“森の中”で出会うことになる“ジャック”に“赤ずきん”そして“ラプンツェル”と“シンデレラ”に“魔女”、更には“オオカミ男”までが加わる、ミュージカルにしては複雑な人間関係が絡み合うトンデモ話が展開する。しかしである。舞台版は見たことないが、なにせそのタイトル通りの“森の中”が舞台とあっては、薄暗い上に足場もままならぬせいでもなかろうが、ミュージカルには欠かせないダンスシーンがひとつもないのだ。元々この脚本にはダンスの予定は無いのかも知れないが、それにしてもただ“歌”だけで観せられる歌舞劇もまた味気ない。
森の中オンリーの“弊害”は他にもある。カメラアングルがそうだ。カメラの動きのほとんどが横移動の繰り返しで画面変化に乏しいのは頂けないし、カメラが上下に移動するのは例のジャックの豆の木がするすると天に伸びる場面とか、巨人が木を踏み倒し森の中を歩き回る場面くらいのものだ。その“弊害”をカバーするためかどうかは知らないが、人物たちの顔面アップも頻繁でちょっとうるさい。世に、“ディズニー映画にハズレなし”なんて言葉もあるようだが、たまには“ハズレ”もあるのだろう。
(2015/03/27)